MAKINA NAKIJIN
Q.強い理想を持って作られたハードに見合うソフトとは?
今帰仁の自然をおおらかに受け入れ、調和する建築
これは最初にお話しを伺った際の印象的なフレーズだ。沖縄の北部の山の上に佇むMAKINA NAKIJINは、オーナー様と建築家・五十嵐敏恭さんの思いが結晶となったような一棟貸しヴィラ。私たちとの出会いのきっかけは、開業時のCHILLNNのご利用開始とともに、強い建築に見合うVIのようなものをつくれないかというお声をオーナー様よりいただいたことからだった。オーナー様のご協力と様々なタイミングが味方し、実際に現地でお話しを伺えることになった。
A.唯一無二の建築の息吹を感じるブランド訴求
源流をたどり、尊重しながらも深化させる
用途を転用すると、必要になってくるものも変わる。MAKINA NAKIJINは当初、オーナー様がご自身や家族のために愛を持ってつくられた建築だった。完成から1年経たずして、環境の様々な変化と周囲の泊まってみたいというたくさんの声に応え、宿泊施設として営業を始めるに至る。雄大な今帰仁の自然の中に佇む建築の、出会いと記憶を積紡ぐ存在となるVIを。そしてゲストがそこに息づく愛を感じ、空間や環境を大切に思うことができる施設説明を。緊張感はありながら、ハードとソフトがより高め合えるための提案ができる未来への高揚を感じた。
建築の形状や使い方の特殊さ
MAKINA NAKIJINのそれぞれのお部屋は6棟に分かれ、雨の日は濡れ、風が吹きつけ、ヤモリが通り過ぎる。沖縄は実はぐずついた天気も多く、自然から距離をとれるよう整備されている宿泊施設ではない体験がここにはあり、そんな瞬間それぞれを大切に思わせてくれるおおらかな大屋根に包まれる。建築をつくられた時の思いや、夏のヤゴの心配、好きな建築やアート。たくさんの会話の中から、柔らかくも芯のあるロゴデザイン・VIの方向性を見出していった。
おおらかな大屋根に包まれる建築群
体験を強めるクリエイティブを思い描きながら、グラフィックデザイナーの田久保彬氏、コピーライターの若尾真美氏にお声がけした。それぞれが滞在時の体験をもとに、それぞれの時間を描き起こした。最も思いの強かったロゴマーク、検索予約時の顔となるwebサイト、そして様々な人が訪れる時の名刺、そして、領収書。これらが予約時や滞在後もその時の記憶を刻みつけるものとして機能し、MAKINA NAKIJINをさらに唯一無二の存在へと昇華させている。
共感者は増え、輪を広げ強くつながる
1泊だけではなく、何日も滞在したくなる。宿泊施設という特性上1泊では過ごせない時間があり、その日だけの自然や天気、環境との出会いがある。一刻ごとに空は様々に移り変わり、過ごしたことのない時間や季節に興味をそそられ何度もこの地を訪れる。そんな共感者たちの呼ぶ「MAKINA」のイメージの1つにロゴマークの存在も確かにあるだろう。
文責:木村 由佳
COLUMN担当者コラム
プロデューサー木村 由佳
時間をかけて訪れ時間を過ごす体験を、感じ伝えること
実際に現地を訪れ、つくり上げた方にお会いし話を聞き、寝泊まりを体験する。クリエイティブの躍動のきっかけは、いつも体験の中にある。改めてそのことを穏やかにも強く心に刻みつけることとなったプロジェクトだった。早くたくさんの人に魅力を伝えたい思いと、自分たちだけが知っていたい思い。葛藤を胸に持ちながらも、ただ一度だけ目に留まるようなものではなく、ひっそりとも太く、穏やかに長く愛されていくようなものを。軌跡を追いかけながら、そこに新しく良い変化をもたらせるような参画の仕方にもひとつ可能性を見出せたプロジェクトだったように思う。
INFO
- クライアント
MAKINA NAKIJIN
- 所在地
沖縄県国頭郡今帰仁村諸志2031−130
- 時期
2022年3月オープン / 2023年9月ウェブサイトリニューアル
- 用途
一棟貸しヴィラ
- 客室数
1室
SCOPE
- コンセプト策定
- WEB制作
- ロゴ・ネーミング制作
- ブランドツール制作
CREDIT
- プロデューサー木村 由佳
- ディレクター角田 貴広