RE SORT

    ホテル開発・支援
    地域ブランディング
長崎県佐世保市

Q.佐世保の街と宿泊施設のあるべき関係とは?

RE SORT

佐世保の街を"RE"PORTする、まちづくりチームの発足

RE SORT 開業の経緯は、開業の15年前に遡る。今回プロジェクトのオーナーでもある一般社団法人REPORT SASEBOの前身は、現代表理事の中尾氏ら佐世保市職員でつくる自主研究グループだった。「港(ポート)町らしさを取り戻す」「魅力をリポートする」という思いで、佐世保の地元らしさの再発見と、周辺地域のハブ的な役割を持つ都市らしさを創出しようと、2019年7月に一般社団法人REPORT SASEBO設立。同市出身者や市内在住のデザイナー、市職員など約20人で組成させる同法人の活動第一弾として、旅行客から佐世保を面白がってもらおうということから宿泊施設を手掛けることに。佐世保市万津町の4階建てビルの一部をホテルに改修する計画が進む中で、水星にホテルプロデュースの依頼をいただいた。

A.西果ての街 佐世保に没入する

西果ての街 佐世保に没入する

観光の様式を再定義する「RE SORT」プロジェクト

佐世保の当たり前の風景や暮らしを“リゾート”というキーワードで捉え直すとより豊かに生活を送れるのではないか、という考えから今回のプロジェクトははじまった。築年数約40年の4階建てマンションの一部をリノベーションした施設には、エントランスもロビーもない。ホテルとして使われているのは3室以外は、一般の賃貸物件として使用されている。そんな施設で試みるのは、佐世保の日常の暮らしや街の資源と合わせて、体験そのものを“リゾート”に変えていくこと。佐世保の暮らしの延長線上にある宿泊施設として、近所のお店で食事したり、港沿いを散歩したりと、地域そのものを旅に組み込んでいくという観光の様式の再定義を図った。

マイクロホテル併設ブティックサウナ

RE SORTは佐世保朝市の目の前にあり、対岸の米海軍佐世保基地も見渡せる。6部屋のうち、空き部屋の3部屋を改修し、海や山、造船所がある佐世保から連想した青、緑、灰色の3色を各部屋の家具や壁の色に落とし込んだ。 目玉はプロジェクトチームのサウナ愛が高じて設置された、全室と屋上のサウナ。このうち1部屋はミストサウナで、残りは全てサウナの本場、エストニアから装備を輸入した。サウナーのサウナーのためのサウナーによる企画運営のホテルであるということを踏まえ、一般社団法人REPORT SASEBOと水星スタッフのサウナー的経験と知見を余すことなく活かし、空間や体験設計のディレクションを行った。

贅沢な空間の客室に設置された、北欧から届いたキャビンサウナ。
贅沢な空間の客室に設置された、北欧から届いたキャビンサウナ。
現在も住民が生活する築40年のRCマンションの一部をリノベーション。
現在も住民が生活する築40年のRCマンションの一部をリノベーション。
サウナとサウナとサウナ、そしてサウナ。
サウナとサウナとサウナ、そしてサウナ。

予算と想いのあいだからの跳躍

プロジェクトを成功に導くにあたり、限られた予算の制約をクリエイティブに跳躍させたことも、このプロジェクトの特徴である。キラーコンテンツでもある客室サウナ及びルーフトップサウナのチラー完備の高水準実装に予算を向け、客室内のベッド・バスルーム・WCに間仕切りや扉設けず、サウナキャビンの配置の妙などで構成することでフルオープンワンルームに仕上げた。室内が一体化した広く解放的な空間は贅沢かつ独自性のあるものへとなった。

フルオープンワンルームの客室。
フルオープンワンルームの客室。
海山に隠された街と故郷を評した写真家松尾修の作品を全客室に展示。
海山に隠された街と故郷を評した写真家松尾修の作品を全客室に展示。
BLUE・GRAY・GREEN。街を想起させるキーカラーを抽出、部屋名に。
BLUE・GRAY・GREEN。街を想起させるキーカラーを抽出、部屋名に。
海や山、インダストリルな街をモチーフとしたロゴマーク。
海や山、インダストリルな街をモチーフとしたロゴマーク。

人とお金の街の循環を促す宿泊施設

RE SORTではリノベーションしたアパートビルを客室としながら、近接するカフェをレセプションとして、そして公民館をラウンジとして活用し、エリア一帯をホテルとして機能させている。 観光の様式の再定義に基づくこれらの取り組みから生まれたのは、エリア内の人やお金の健全な循環である。水星が開業までの約2年にわたり併走してきた以降も順調に推移する稼働率がこれからも佐世保の街の循環と発展に寄与することを切に願う。

文責:大丸 勇気・荒木 拓也

COLUMN担当者コラム

クリエイティブディレクター・プランナー大丸 勇気

佐世保の街の空気感を編集する。

今回のRE SORTプロジェクトでは、造船所のクレーンやレンガ倉庫群、米海軍および海上自衛隊の艦船に象徴される佐世保港、外来の生活文化を取り入れながら明るく風通しの良い独特な雰囲気を醸す佐世保の街の世界観へ否応なく没入してしまうデザイン、クリエイティブを意識しました。 また、複数名の現役の市職員やローカルを主戦場に活躍されるグラフィックデザイナー、コンサルタントなど様々な面々で構成された一般社団法人REPORT SASEBO様のユニークなチームの個性が滲み出たことが、この空間を生みました。このホテルが「リゾート」という言葉から想起される、ともすれば予定調和なイメージの破壊と創造に作用することがあったとすれば、それは私達の存外の喜びです。

INFO

クライアント

一般社団法人REPORT SASEBO

所在地

長崎県佐世保市万津町7−13 山本ビル

時期

2021年11月1日オープン

用途

マイクロホテル

客室数

3室

SCOPE

  • ホテル開業支援
  • コンセプト策定
  • 事業・商品開発
  • 空間デザイン
  • 体験コンテンツ設計
  • WEB制作
  • ロゴ・ネーミング制作
  • 撮影・動画制作

CREDIT

  • ホテルプロデューサー龍崎 翔子
  • クリエイティブディレクター・プランナー大丸 勇気

PARTNER

一般社団法人REPORT SASEBO 株式会社アースプラス建築設計 藤本 幸一郎
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